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田中俊樹

長野県松本市出身。京都精華大学人文学部卒業。2001年より同大学に務め、現在は入試課に勤務。

“最初は「自分は精華に居ちゃいけない」と思った。”

「高校を出たら旅人になろうと思ってたから大学に行こうと思ってなかったけど、高校3年生の冬休みに絵を描いている友達が京都精華大学のパンフレットを持っていて、ここを知ったの。精華のパンフレットが光り輝いて見えたのを今でも覚えてる。『俺が行かないでどうするの!?』って。偏差値とかじゃなくてさ、魅力を感じたんだと思う。今考えたら、パンフレットに載ってた学生の雰囲気を見ていいなと思ったんだろうね。冬休みを利用して精華に行ったけど、夕方で大学も休みだから誰もいなくてね。でも、本館の前の道を歩いていると『俺、4月からここを歩いてるな』って感じた。『受けたるわ!』って。ほんと馬鹿だよね(笑)。

大学を卒業してフラフラしていたら、職員の人が『うちでバイトしない?』って言ってくれて。大学時代、入試やイベントのバイトをさせてもらっていたから声をかけてもらって、それがきっかけでこの仕事を始めました。最初は入試広報課にいったけど、始めはすごい嫌だったのね、働くのが。後輩からしたら『何してるんですか?』って感じじゃない。当時は『自分はここにいちゃいけない』とさえ思ったよね。でも、周りの職員さんと一緒に働いていくうちに、学校で働く面白さがだんだんと見えてきた。自分が学生時代に色々やらしてもらっていたのって、見えないところで色々フォローしてくれていた人たちがいたからできていたことがわかった。」

 

“「何かあったらあの人に相談しようぜ」と思える人に救われた経験がある。”

―そこからずっと入試課ですか?

「ううん。それからアセンブリーアワー講演会(あらゆるジャンルから一流のゲストを迎える公開トークイベント)や公開ガーデン(キャンパスを学びの場として一般開放するイベント)を企画する文化情報課に3年いて、専任試験を受けて学生課になりました。学生課が長かったね、6年くらい。仕事をしていく上ではこの6年間が大きかった。それまでいた部署では元気の良い学生と関わることが多かったけど、学生課に行くと色々と問題を抱えている学生と関わることが多かった。

俺、高校の頃は全然勉強をしていなくて。学校でお昼の放送のディスクジョッキーをしていて、その取材や原稿を昼間に喫茶店で書いていたから『学校で授業なんか受けてる暇はない!』って思ってた。でも、学校の先生が家に呼んでくれたりとか、朝早く来て勉強を教えてくれたりと、すごい支えてくれたのね。自分のことを聞いてくれる大人や学校の人がいるのといないのでは全然違う。何かあったら、『あの人に相談しようぜ』っていう人に俺もすごく救われた経験があるから。精華の場合はね、そういう人が多いんじゃないかなと俺は思うけど。学生の頃、他の大学の友達に『なんで職員の人と飲みに行くの?』って不思議がられたけど、俺は先生より職員と仲が良かったからさ。職員の人からすごく影響を受けたし、どんな思いで働いているんだとか、働くとはどういうことかをたくさん教えてもらった。俺は今でも学生に対して自分が見本になっているとは決して思わない。反面教師でも良いから、世の中色んな人がいるんだって思ってもらいたいと思ってる。」

 

“精華は学生がいちばん面白い”

としきさん02
2014年12月に行われた京都精華大学のオープンキャンパス。日程がクリスマスに近いことから、学生らがクリスマスをイメージさせる装飾を企画し、訪れる高校生を迎えた。

「今から4年前に入試課へ異動になりました。学生課は学生にいちばん近い部署だったから、入試課では何ができるかなと思って、それまでの精華のオープンキャンパスは大学が決めた内容を当日スタッフに来てくれた学生にやってもらってたけど、事前に一緒に考えてもらう学生スタッフをつくって、当日はその子たちが学生に指示を出すっていうのをつくりたいと思い、「オープンキャンパス学生企画チーム」という取り組みを始めました。

精華に興味を持ってオープンキャンパスに来てくれた高校生にとって、いちばん満足度が高いのは、自分の話を聞いてもらえるということと、先輩と話ができるということ。カリキュラムって、大人が思うほど高校生には印象が残らない。だからこそ学生に話をして欲しいのよ。お陰様で言ったら変だけど、オープンキャンパスの企画をやりたいって言ってくれる学生が増えてきました。

大きな仕事として、もう一つは高校訪問ですね。各地の高校に行ってガイダンスをしたり。「何かを知りたい」という気持ちがないと大学ってしんどい場所だから、『大学に行かないといけない』と当たり前に思わなくてもいいんじゃないかな。ただ、『大学に行こう』なんて思っていない子でも精華に来たら面白いものがある。でも、面白いものって用意されているんじゃなくて、つくっていかないといけない。精華はそれがつくりやすい環境があると思うし、そういう環境をつくってあげたい……というのはおこがましいけど、サポートをしたい。例えば学生が「こんなことをしたい」と言ってきたら、『そんなの危ないんで駄目です』と却下してしまうんじゃなくて、『どうやったらできるか』を考える。そこに仕事の要素が詰まっているわけじゃない。学生時代と社会に出るということを分けて考える人がいるけれど、学生時代にやったことが仕事に繋がることがある気がする。それは、勉強や授業だけではなくて、“知ることの楽しさ”が溢れているんだよね。俺は、高校時代自分は音楽に詳しいって思っていたけど、大学に来てもっと詳しい人に出会ったし、絵を描いている人もいるし、学生運動をやっている人もいるし……色んな価値観が集まって、『自分なんてまだまだだな』って思った。大学で出会った友達の影響を受けていなかったら、今の自分は絶対にない。俺が高校生に『もしチャンスがあれば大学っていう場所に行って欲しい』と伝えるのはそういうことなんだよね。

うちってさ、いちばん面白いのはやっぱり学生なのよ。優れたカリキュラムや教員がいるとか、設備が整っているとかそういう一面も大事なことかもしれないけど、単純に面白い学生や卒業生がいるということでもってる。そんなことを言ったら『それかよ!』って思うかもしれないけど、こんな先輩がいるんだったら行きたいなとか、こんな友達がいてよかったなって思ってもらうことが一番重要だと思うんだよね。その出会いって、一生の出会いなのよ。人にとって出会いと環境ってすごく大事だと思うから、そういう場所をつくりたいと思うんだよね。

 

“精華らしさとは、向き合うこと。”

「精華らしさが何かと聞かれると『雰囲気』としか言えない。でも、その雰囲気をつくるのは学生と、学生を支える大学の人たちだと思うのね。“精華らしさ”を話せる学生がいるというのは良いことなんだけど、それを伝えていかないと変わっていったりとか、よくわかんないものになっちゃうの。なんとなく『精華ってこうだよね』ってぼやって考えるんじゃなくて、それを伝えていく仕組みが必要になる。今までは精華の昔からいた教員や職員が『精華はこういうもんなんや』って伝えていてくれたけど、文章には残っていなくて。大学理念の『自由自治』というのも、人によっては捉え方が違うから人数が多ければ多いほど伝える仕組みが必要になってくる。大学って企業と違って儲けを追求するところではないから、情熱で仕事をするとき『精華らしさ』が強くないと駄目だと俺は思ってる。でも、それは答えがあるわけじゃないからずっと考えていかないとね。自分も含めて。

―先ほど精華らしさは「雰囲気としか言えない」とおっしゃっていましたが、あえて言葉にするならなら何だと思いますか?

「なんだろうね。『向き合う』ってことなのかもしれない。俺は若い頃、向き合わない大人にすごく腹が立ってた。ただ、向き合いすぎても腹が立つんだよ(笑)。でも、向き合う人がいないといけないよね。面倒くさがってちゃ向き合うことなんてできないから」

 

京都精華大学


 

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川上 ひろこ

川上 ひろこナポリタン編集長 / ライター

投稿者プロフィール

1992年大阪府摂津市生まれ。京都精華大学在籍。2012年春に同大学を休学し、栃木県益子で環境問題を扱うNPOの元で2ヶ月のあいだ環境保全活動をする。同年夏より、ご縁がありフリーライターとして東京の広告代理店の編集業務を取り扱う部署に常駐。憧れていた雑誌やネットニュースの原稿執筆をする。2014年春より復学し、現在は京都市左京区の「恵文社」から自転車で7分の距離にある家でシェアハウス中。好きな食べ物はチョコミントとパクチー。「ナポリタン」を京都愛あふれるウェブサイトにするため、今日もママチャリに乗ってネタ探し。

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