寒波とボタンと平安楽市

岡崎×手作り市=???

平安楽市。
その古風な名前とは裏腹にその歴史は2年と、京都の手作り市の中ではまだ新しいと言えましょう。しかしその立地たるや、京都市の中でも言わずと知れた「文化ゾーン」・岡崎。圧倒的な存在感を誇る平安神宮をはじめ、京都市美術館や文化シアター、京都府立図書館等々が立ち並び洗練された文化人たちの集うこの地で、手作り市が開催されるに至ったのもまた必然。ならば向かおう約束の地に。

と、いうわけで、行ってきました平安楽市。

 

いざ行かむ、手作り市へ

【悲報】寒波襲来【寒すぎる】
寒い。寒すぎる。今日出会うことになるであろうすばらしい品々に思いを馳せ、自身のテンションと共に体温を上げてきたはずが……準備及ばず。前日の天気予報から何となく嫌な予感はしていましたが。ええ。
そんな日にも、市は賑やかに和やかに開いておりました。

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北入口から見るとこんな感じ。

寒さに震えながら散策開始。
冬の手作り市に行くと、毎度思うのです。こんな日にずっと座ってじっとしていなければならないなんて、出店者の方々も大変だろう……(私ならお金を貰えるとしても少し考える)。しかし不思議なことに、お店の方当人はその労苦を滲ませることもなく、いつもニコニコと商品の紹介をし、果てには「寒い中大変だったでしょう」などとこちらを気遣いさえしてくださるのです。聖人か。それとも、手作り市出店者だけに伝わる幻の防寒法があるのか。

しばらくうろうろしていると、個性豊かなお店の面々に出会うことができました。

これもこれもと店頭に置いてあるほぼすべての食べ物を試食させてくれたちりめん山椒屋さんや、「これ、作るの面倒だったので数が少ないんです。あはは」と正直すぎるお姉さんのアクセサリー屋さん、スパイシーな香りを容赦なく放ち、市に来るお客さんの胃袋を刺激しまくるインド料理屋さんなどなど……。

出店は約170ブース(今回は冬だったのでちょっと少ない)、 かの有名な「百万遍さんの手作り市」の開かれる知恩寺から程近いこともあり、見かけたことのあるお店もちらほら。そして驚いたのは、順路が設定されていること。じゅ、順路? 今まで行った手作り市では見たことがない。手作り市も展覧会味が増してきたということか。まぁ考えてみれば、他の手作り市では出店場所によって売り上げがかなり違うということがあるようなので、店間の公平性を保つ意味合いもあるのでしょう。 それに、手作り市に来たからにはすべてのお店を見て回りたいという鼻息荒いお客(もちろん私含む)側からしてもありがたいことです。うむ。

 

見つけた、素通りのできないお店

そんな中、気になるお店を発見。

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ん?

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んん??(二度見)

これ……もしや……
お店の方「一つひとつ アクリル絵の具で手描きしてます~」
やっぱりーーー!! なんとボタン(小さい)に絵(もっと小さい)が描かれているのです。細かい。とにかく細かい。どんな筆で描いているんだろう……と思っていると、実際に使っているという筆と画材を見せてくれました。

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この筆一本で大小すべての作品を描いているのだそう。大は小を兼ねると言いますが、筆についてはどうやら逆のようで。
そして、よく見るとアクセサリーのひとつひとつにタイトルと物語が……。絵だけでなくストーリーまで? その発想はどこから??? 気になることが尽きないので、お店の方に直接お話を伺ってみることにしました。

手描きボタンのアクセサリー屋さん

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今回、お話を聞かせてくれたのは「yurikago」の福田左木子さん。
売られているのはボタンブローチをはじめ、チョーカーやピアス・イヤリングなどのアクセサリーが中心。

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手作りブローチがキマってます。

まずは、手描きボタンのアクセサリーを作ることになった経緯から。
「以前はもっと大きい絵を描いていたんですけど、手作りで白木のボタンを作っている方がいて。そのボタンを見て、これに絵を描いてブローチなんかにしたら素敵だなぁと」
ふむふむ、確かに手作りのボタンは一つひとつ形も厚みも違い、それだけでもいろんな表情を見せています。ステキ。でもこの小さいキャンバスに、ストーリー込みの緻密な街並みを描こうだなんて誰が考えるでしょうか。器用な方というのはいるものですねぇ……。
ひとつ描き終えるのに、早いもので2時間、中には丸一日かかるものもあるのだとか。それでも「毎日描いているので、一週間あれば20点くらいはできます」というのだから驚き。

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あまりの絵の細かさに、店頭にはルーペが置いてあるほど。

ゆったり、ゆらゆら、ファンタジー

そして私たちを魅了してやまないのが、そこに描かれている世界観。主に「街並み」と「女の子の日常」というふたつのシリーズから成っており、どちらもなんともファンタジック。性別の概念を超越するほど食う寝るに特化した私でさえ、忘れかけていた乙女心をくすぐられます。

「ヨーロッパ風のレトロな建物が並ぶ風景が好きなんです。実際に行ったことはないんですけど(笑)」と福田さん。「ずっと憧れているんですよね。写真集なんかを見ることはありますけど、描いているのは自分の中のイメージ。自分なりのポイントとして、虹や教会、青い鳥など、幸せなモチーフを盛り込むようにしています」乙女の神髄、ここに極まれり。
ということは、ストーリーもご自分で? 「はい。下絵を描くときに考えているのですが、色塗りを始めてから変わることもよくありますね。でも、それを買ってくださったお客さんが、またご自分で物語を考えてくださるのも良いなぁと思います」おおぉ、それは楽しそう! 妄想、いや空想に耽った少女時代を、今また体験するのも素敵ですね。

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か、かわいい(確信)

ちなみに屋号「yurikago」の由来は……。「元々は滋賀で雑貨屋さんをやっていたんです。その雑貨屋さんの名前を考えていたとき、はじめはロッキングチェアみたいなのにしようと思っていて。 あのゆったりとゆらゆら揺れる感じが良いなぁと。でも、そのとき娘が『じゃあ、ゆりかごは?』って言ってくれて、お店の名前はひらがなの『ゆりかご』にしました。」お店の形態が変わったため表記はひらがなから英語になりましたが、娘さん命名の「ゆりかご」という響きは今もそのまま屋号に。福田さんのご家族は制作活動を温かく応援してくれているのだそう。ほっこりエピソードに寒さもしばし忘れておりました。愛は天候を超越した……

お話を伺っている間にも、「すごーい」「かわいい!」とお店にたくさん訪れるお客さん。中には常連さんも。
最後に、手作り市の醍醐味について聞いてみました。
「やっぱり自分の作ったものを、直に見てもらえることでしょうか。たくさんの方と直接お話しして刺激も貰えますし、次の作品のアイデアにも繋がります。他のお店を見に行くのも楽しくて。ディスプレイなんかも参考になりますね。」

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クリスマス間近ということもあり、サンタなどの置物が。ディスプレイには季節感を取り入れるようにしているのだそう。

周りの人とのふれあいを大事にし、それを作品作りにも活かす福田さん。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました!!

いやぁ良いお話が聞けたなぁ。ほくほく。平安楽市を満喫できたし、なんだか日も出てきたし、さぁこれからもいっちょどっか行こうk……(ビュオーーー←風の音)……。
再び寒さに身を縮こませ、結局帰路に就く私でしたとさ。

 

■「平安楽市」公式HP
→http://kamigamo-tedukuriichi.com/

■「yurikago」ブログ
→http://handpaintingyurikago.blogspot.jp/
☆今回ご紹介したyurikagoさんは、平安楽市の他、百万遍さんの手作り市、北山クラフトガーデンにも出店されています。

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日下 千夏

日下 千夏ライター

投稿者プロフィール

名前の読みは「くさかちなつ」。神戸出身、京都在住。社会人2年目で、京都の某大学の事務職員。学生のときから、手作り市には最低月1、多いときは週1で通っている。よく買うのはブローチと多肉植物。よく言われる言葉は「声大きいね」。

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