筒井洋一


筒井洋一

京都精華大学人文学部教員

神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。国際関係論から始まり、大学教育、NPO研究、メディア論、今はファシリテーションを専門にする。共著に『アカデミック・ジャパニーズの挑戦』『自己表現力の教室』。

 

“はじめは半信半疑でした。”

「こちらのお店は、松ヶ崎にある立ち飲み屋『まつがさき商店』のオーナーさんに紹介してもらって知りました。もう二年前になりますかねぇ。『うちのお店のお酒を取り扱っていて、安くて美味しい食材を提供している』と。でも、はじめは半信半疑でした(笑)。ネットにもあまり情報が載っていないでしょう。しかも、この京都府庁辺りってお店が成り立たない地域なんですよ。住宅街の真ん中だから、京都府庁以外のお客さんが集まるのが非常に難しい。だけどここは、府庁の人はあんまり来なくて、人づてでお店を知った人があちこちからすごろくで上がるようにやって来る。これはこのお店の大きな特徴です。お昼は木材店をやっていて、その合間に仕入れや仕込みなどして夕方17時から立ち飲み屋がオープンというのも非常に珍しい。面白いお店です。僕は一人でも飲みに行きます。でも、いつもお客さんがいっぱいなので、早く行くか遅く行くかしないと入れない」

 

“「とりあえずビール」をやめました。”

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「すみません、日本酒いただけますか。

僕はね、『とりあえずビール』というのが嫌なんですよ。2011年3月に東日本大震災が起こった頃、京都精華大学ではコピーライターの佐々木圭一さんが授業をしていました。授業の最後に、学生ひとり一人が『自分がこれからできること』を全員の前で発表するということになっていて、そのときの軽いノリで『自宅で酒を飲まないようにする』と宣言してしまいました。佐々木さんが『それはちょっと厳しすぎるので、3月末まで自宅禁酒にすれば』と言ったのでそうしていました。でも、大震災が起きてこのままぬくぬくした人生を続けてはいけないと思うようになり、その後も自宅禁酒を続けています。もう3年になります。その代わり、外では飲んでいますよ。外で飲むからには、好きな酒だけ飲もうと決めました。そこで、私にとってのどごしだけで飲んでいるビールはもはややめようと決めました。そこで、味わいが最も好きな日本酒だけに絞ろうと思ったんです。

僕は自分の好きなお酒とお店の好きなお酒が合うお店を選びます。置いてあるお酒で、オーナーの好みってわかるから。まずは今日のおすすめを」

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オーナーの井倉さん。この日はアウトレットで購入したというお気に入りのTシャツで。

今日のおすすめの日本酒は滋賀の銘酒「亀亀覇」。

「僕は同居している89歳の母とよく飲みに行くのですが……とにかく母が元気でね。母もお酒が大好きなので、これまで数々の飲み屋に出かけていますが、どの店でも最高齢記録を出しているんですよ。このお店でもまだ記録は破られていないと思います。母は歯が丈夫だから何でも食べられるんです。巷(ちまた)では80歳で歯を20本残すのが目標だと言われているのに、母は全部残っていますからね」

 

“最初はポテサラとスルメ天を。”

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「最初にポテサラ(90円)とスルメ天(450円)があれば言うことナシ! スルメ天がまたね、大きくて美味い。あと、『自家製厚揚げ』(400円)もいい。自前で厚揚げを作っているお店って、なかなかないでしょう」

 

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人気メニュー「谷中しょうが豚バラ巻き」(600円)。秋季限定。

 

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秋の味覚、サンマ(900円)。筒井さんの奥さんいわく、「筒井親子は魚好きなので、すごくきれいに食べる」。ご覧の通り!

 

“学生はわた毛のように飛んで行ってどこかで花を咲かせてほしい。”

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「僕はもともと大学教員になりたかったわけではないです。新聞記者か、リクルートに入りたかった。結局、企業には行かなかったですが、学生時代の就職活動は、自分にとって人生の良い経験でした。

住友銀行(現三井住友銀行)の会議室ってね、天井が恐ろしく高くって、石造りなんですよ。そこで面接官と二人きりで面接することになって、『落ちてもめったに行けない場所に行けた体験できるなら良いや!』って思っていましたから。こうした経験から、京都精華大学では4年前にはキャリアデザインという学生の将来を設計する授業を担当させてもらっています。

学内と学外をちゃんと繋げようと頑張る、そんな学生を育てたいと思っています。たまにね、京都精華大学には同じゼミばかりにいる学生がいますけど、僕はあんまり興味ない。それも楽しそうで、ひとつの人生だけど。どこかひとつの場所にずっといるのではなく、わた毛のように飛んで行って、やがてどこかで花が咲く…そういう関係性が僕は好きです。まあ、そういう学生と出会って、いちばん得をするのは僕なんですけどね(笑)」

―京都精華大学内と学外を繋げる活動に勤しむ筒井さん。これからの京都の若者を変えていく、そんなパワーがあるお友達を紹介してください!

 京都に移住したい人を応援する『京都移住計画』の田村篤史さん。彼と知り合ったのは3年前。僕が町家スタジオによく合宿に行っていて、彼も週に何度か通っていたんですよね。彼の周りに友達が多いので、もともと周りが全部繋がっていた。『移住』ってダイタンな言葉でしょう。彼は若い上に、京都の価値を見直して、新しい価値観を人に届けようとしていますね。田村さん、これからも京都の再発見を一緒に楽しみましょう!」

 

<店舗情報>

酒場 井倉木材


住所:京都府京都市上京区薮之内町77-1
電話:非公開
営業時間:17:00~23:00(L.O.22:30)
定休日:日曜、祝日

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川上 ひろこ

川上 ひろこナポリタン編集長 / ライター

投稿者プロフィール

1992年大阪府摂津市生まれ。京都精華大学在籍。2012年春に同大学を休学し、栃木県益子で環境問題を扱うNPOの元で2ヶ月のあいだ環境保全活動をする。同年夏より、ご縁がありフリーライターとして東京の広告代理店の編集業務を取り扱う部署に常駐。憧れていた雑誌やネットニュースの原稿執筆をする。2014年春より復学し、現在は京都市左京区の「恵文社」から自転車で7分の距離にある家でシェアハウス中。好きな食べ物はチョコミントとパクチー。「ナポリタン」を京都愛あふれるウェブサイトにするため、今日もママチャリに乗ってネタ探し。

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